夜に3ルクスの光を1晩34分浴びていた人は、3年後の心臓の壁が厚かった。1万1,000人の手首のセンサーと MRI をつないだ研究
この記事には広告(Amazon アソシエイトのリンク)を含みます。 夜の光が体に与える影響は、これまで主に睡眠や体内時計の研究で調べられてきました。近ごろはそこに、心臓や血管の病気との関係を指摘する報告が加わっています。2025年には、イギリスの大規模な健康データベース「UK バイオバンク」の8万8,000人余りについて、手首のセンサーで測った夜の光が多い人ほど心血管の病気を発症しやすかった、という研究が出ています。 ただ、病気の発症は結果です。そこへ至るまでに、心臓そのものに何か変化が起きているのかどうかは分かっていませんでした。 テュレーン大学(アメリカ・ニューオーリンズ)の Lu Qi さんのチーム(筆頭は Jin Dai さんと Wen Dai さん)は、同じ UK バイオバンクの参加者1万1,071人について、手首のセンサーで測った夜の光の量と、その約3年後に撮った心臓の MRI を突き合わせました。論文は2026年9月9日付で European Heart Journal にオンライン掲載されています。 手首のセンサーで測った「夜の3ルクス」 参加者は2013年から2015年のあいだに、光センサーが組み込まれた加速度計を利き手の手首に7日間着けていました。研究チームはその記録から、一人ひとりについて1日のうちいちばん動きの少ない5時間を「夜」とみなし、その時間帯に3ルクスを超える光を何分浴びていたかを数えました。 3ルクスはかなり暗い光です。明るさの単位のルクスは、ろうそく1本を1メートル離れて見たときの明るさがおよそ1ルクスにあたります。その3本ぶんですから、部屋の照明を消したあとに残る、常夜灯や窓から差し込む街灯のようなかすかな光が対象です。研究チームが3ルクスを境にしたのは、人ではこの程度の光でも、夜に出るホルモンのメラトニンの分泌が抑えられることが知られているからです。 結果の分布を見ると、参加者の4分の1以上は、夜のあいだ3ルクスを超える光をまったく浴びていませんでした。研究チームはこの人たちを基準の「なし」グループとし、残りを浴びた時間の長さで3等分しました。少ないほうから、1晩あたり平均0.9分、4.6分、そして「多い」グループが平均33.9分です。いちばん多いグループでも、1晩のうち光を浴びていたのは30分ほど...