閉経をまたいだ120人の脳だけ、灰白質の減少が止まって見えた。初経と妊娠では月0.1%ずつ皮質が縮むのに、閉経の前後では加齢の流れが途切れていた1,095人のMRI
この記事には広告(Amazon アソシエイトのリンク)を含みます。 女性の脳は、一生のうちに3回、大きなホルモンの波をくぐります。初経を迎える思春期、妊娠、そして閉経です。このうち思春期と妊娠については、前後で脳のMRIを撮ると大脳皮質の灰白質(かいはくしつ。神経細胞の本体が集まる層)が減る、という結果が積み上がってきました。ところが閉経だけは、脳全体を前後で比べた研究がありませんでした。あったのは海馬という一部分だけを追った1本です。 その穴を埋める論文が、2026年9月8日に Nature Communications に出ました。アムステルダム大学医療センターの Sophie van 't Hof さんと Elseline Hoekzema さんのチームが、3つの移行期を同じ物差しで測り比べたものです。結論を先に書くと、思春期と妊娠では脳の皮質が同じくらいの速さで縮んでいたのに、閉経をまたいだ女性の脳では、年齢相応に進むはずの縮みが止まって見えました。 3つの移行期を同じ物差しで測る この研究が新しいのは、思春期・妊娠・閉経をばらばらの研究で見るのではなく、同じ解析の手順で並べたことです。使ったのは3つのデータで、合わせて1,095人ぶんの、時期をあけて2回撮った脳のMRIです。 思春期:オランダのライデン大学で集めた女子142人。1回目と2回目の間に初経を迎えた34人を「またいだ群」とし、2回とも初経前だった49人、2回とも初経後だった59人を比較の相手にしました。 妊娠:同じくライデンの前向き研究の女性110人。妊娠前と出産後に撮った初産の40人、2人目を産んだ30人、子どもを産まなかった40人です。 閉経:英国の大規模データベース UK バイオバンクの女性843人。1回目は閉経前、2回目は閉経後と答えた120人を「またいだ群」とし、2回とも閉経前の49人、2回とも閉経後の674人と比べました。閉経後の群は年齢の範囲をまたいだ群に合わせて絞ってあります。 大事なのは、どのデータにも「移行期の最中だった人」と「その前後で安定していた人」の両方が入っていることです。脳は子どもなら発達で、大人なら加齢で、何もなくても少しずつ形が変わります。移行期そのものの効果を取り出すには、同じ年ごろで移行しなかった人の変化と比べる...